オフィス・エコー(以下E):リノベーションのきっかけはなんですか?

Sさんご夫妻 (以下S):細かく部屋が分かれていたのを、二人で住むのに快適な部屋をつくりたい、ということですね。もともと一人で住んでいるときからリノベーションしたいとは思っていたんです。
でも一人だったら、多分まだしていなかったと思います。いろいろと面倒なことが多いので、二人で一緒になるのをいいきっかけに「やろうよ、やろうよ!」と。

E:個割りだった部屋を「今の生活のスタイルによりあわせたかたちにしたい」ということですね。
それ以外ではどんな点にこだわっていましたか?


S:いくつかコンセプトがあって、「間仕切りを少なく」「収納を多く」、あともう少し自分たちの雰囲気にあった「人工的ではなく自然な感じに」ということでした。
それとキッチンを中心として「食べる」「くつろぐ」ということを家の中で一番いい場所にしたかった。前はキッチンが家の真ん中あたりの日の当たらない場所にあったんです。料理をするのが好きなので、一番日の当たるところにキッチンを移動させて、毎日二人とも仕事が忙しいので、一緒にいられる少ない時間の中で食べたり飲んだりを楽しく楽に、というのがありました。

E:設計の段階で、または工事が始まってから、思っていた点と違ったり、うまくいかないことなどはありましたか?

S:違っていた点などは特になかったですね。
心配はありましたけど、心配よりもどんどん変わっていく楽しみのほうが大きくて。
毎週末に見に行っていたんですよ。そうすると「あ、今日もいる!」という感じでほぼ必ず江本さんが現場にいらしたので、とても安心しました。

E:リユース品を取り入れることに抵抗などはありませんでしたか?

S:全然なかったですね。
むしろ、まだ使えるのにそこで命を断たれてしまうものを生き返らせることの喜びのほうが強かったです。だってもったいないじゃないですか!
最初にリユース品を使うというアイデアをもらった瞬間に、自分も楽しみながらエコに貢献できるし、今まで廃棄されていたものを蘇らせるというひとつのモデルになるんじゃないか、と強く意識しました。世の中に何かを発信できるんじゃないかと。
私たちを含めこれからの世代の人たちは、そういう意識を持つ人は多いんじゃない かと思います。古いものを大事にしたり、リユース品のようにいいものを安く取り入れて、そこに自分たちの味を加えれば、そのものの歴史を含めて愛せるというか。ですから、抵抗なんてなんにもなかったですね。むしろ「誇り」と思いました。
「これ、私が使わなかったら捨てられるかもしれなかったんだよ!こういうふうにまだ使えるんだよ!」と家に遊びに来た友人に言うと、みんな「そうかー、そんなこと考えたこともなかった!」って。
部屋をどうこうということより、そういったコンセプトというか、ものを大事にするというような「想い」にとても共感しました。

E:ありがとうございます。それでは完成したときの印象は?

S:まず、リユース品については、本当に新品を入れたのと同じでしたね。
全体の素材や雰囲気としては、出来上がって入った瞬間に馴染むような感じでした。 新しいのにすぐに落ち着くというような感覚です。
新築のマンションなどは、そこからいろいろと手を加えていかないと、自分らしくなるのにすごく時間がかかりますが、リノベーションでつくると出来たときから自分のテイストになっているので、いきなり自分に馴染むんです。新しいのに昔からあったような、すっと馴染む感じです。
それと、住んだ瞬間から何年後かが楽しみだなと思いました。たとえば床は時間の経過とともに色が変わっていい味になるんじゃないかとか、壁も違う色に塗り替えることも出来るし、未来を描けるという感じです。

E:経年変化も楽しめるということですね。
実際に住んでみていかがでしょうか?


S:LDKが前と違って間仕切りがなくて広いので、わかってはいたことで想定内なんですが、空調が効くのに時間がかかります。
それよりもむしろ、自分たちがまだこの家を楽しむというか味わいきれていないなという感じです。ウッドデッキをひいたベランダで食事をしたり、リビングの壁を活かしてプロジェクターなどで映像を投影したり、もっと楽しみ方があるような気がしています。
楽しみ方がまだ増えていくというか、まだつくり途中のような感じです(笑)。

E:これからリノベーションを希望する方へ、何かアドバイスはありますか?

S:やっぱり、とにかくポイントは建築家ですね。自分のセンスに合う人をきちんと選ばないと、それだけで意識の擦り合わせに時間はかかるし、始まってみて「違う!」ってことにもなりかねないですから。
この人に自分たちの家を任せるんだ、というように、建築家の顔がはっきり見えて、相手の立場に立って誠実に対応してくれる方がいいですね。
江本さんご自身がすごく仕事を楽しんでいて、もしかしたら私たち以上に楽しんでいるような。家づくりが好きなのがすごく伝わってきたんです!やっぱりこちらとしては安心しますね。頼む側としては絶対にそういう人を選ぶといいと思いますね。

E:いやー、なんだか恥ずかしいですね。(笑)
でも確かに、本来家をつくるというのは楽しいことなので、やっている私たちのほうも楽しんでやるべきなんですよね。


S:あとは、リユース品などを使うというひとつの選択肢があるということを知ってほしいですね。

E:最後に、おふたりにとって「家」とはなんですか?

S:やすらぎの場であり、エネルギーをチャージする場です。
あとは、自分の「想い」や「感性」を表現する場ですね。リノベーションは新築のマンションなど出来上がったものを買うよりは、自分をより自分らしく表現できるということです。今の家に住んでみて、よりそう思うようになりました。

E:ありがとうございました。いい家をつくっちゃいましたね!(笑)
 




カウンター越しに「はい」と渡すと「はい!」と受け取る感じです。(笑)







友人から「NYのロフトみたい」と言われる天井







浴室・洗面化粧台もリユース品







おふたりの時間を共有できる空間